WAISは全般的な知的水準と4領域の得意・不得意を調べる検査
WAIS(ウェイス)は、ウェクスラー成人知能検査の略称です。専門家が受検者と一対一で複数の課題を行い、同年齢の基準と比べて認知能力を評価します。
結果には、全般的な知的水準を表すFSIQ(全検査IQ)と、言語理解、知覚推理、ワーキングメモリー、処理速度の4指標が示されます。WAISで分かるのはIQがいくつかだけでなく、どの種類の課題で力が出やすく、どこに負荷が集まりやすいかです。
WAISで分かるFSIQと4つの指標
| 得点 | 表すもの |
|---|---|
| FSIQ(全検査IQ) | 複数の課題をまとめた全般的な知的能力の水準 |
| VCI(言語理解指標) | 言葉の意味や身につけた知識を使う力 |
| PRI(知覚推理指標) | 図形や視覚情報から関係や規則を見つける力 |
| WMI(ワーキングメモリー指標) | 情報を短時間保ちながら考える力 |
| PSI(処理速度指標) | 視覚情報を素早く探し、照合し、書く力 |
得点は、同年齢の人と比べた水準と、本人の中での相対的な高低を分けて読みます。本人の4指標で最も低い得点でも、同年齢集団と比べれば高いことがあります。
同じFSIQでも、4指標の組み合わせが違えば、力を発揮しやすい課題は異なります。たとえば処理速度がほかの指標より低ければ、内容を理解する課題よりも、制限時間内に情報を探して転記する作業で負荷が上がりやすいと読めます。
FSIQそのものの意味はFSIQとは、4指標の構成はWAISの指標が表すもの、得点差を生活や仕事と結びつける方法はWAIS結果の見方で説明しています。
日本版WAIS-IVは10の基本検査と5の補助検査で構成される
日本版WAIS-IVには15種類の下位検査があり、通常は10の基本検査からFSIQ(全検査IQ)と4つの指標を算出します。5つの補助検査は、認知能力をさらに詳しく調べるときや、基本検査を別の検査で代替するときに使います。
| 指標 | 基本検査 | 補助検査 |
|---|---|---|
| VCI(言語理解指標) | 類似、単語、知識 | 理解 |
| PRI(知覚推理指標) | 積木模様、行列推理、パズル | バランス、絵の完成 |
| WMI(ワーキングメモリー指標) | 数唱、算数 | 語音整列 |
| PSI(処理速度指標) | 記号探し、符号 | 絵の抹消 |
FSIQと4指標の算出に使うのは基本検査なので、すべての人が15検査を受けるわけではありません。
WAISを受ける主な目的
WAISは、結果を診断や支援、学校・仕事での調整、自己理解につなげるために使われます。
医療では、大人の発達障害の評価などで、問診、発達歴、学校や職場での様子とあわせて認知特性や支援ニーズを検討します。知的障害や高次脳機能障害の評価にも使われます。学校、職場、復職、リハビリテーションでは、結果をもとに支援方法や環境調整を考えます。自分の得意・不得意を知るために受ける人もいます。
診断や外部提出が目的なら、医師の診察や報告書の発行に対応した受検先が必要です。自己理解が目的なら、得点が生活や仕事でどう表れるかまで説明してもらえる受検先が向いています。IQの凹凸を発達評価でどう使うかはIQの凹凸と発達特性の関係で扱っています。
日本版WAIS-IVの対象年齢・所要時間・結果
2026年8月現在、最新の日本版は2018年刊行のWAIS-IVです。対象年齢は16歳0カ月から90歳11カ月で、「成人知能検査」という名称ですが16歳・17歳も含みます。
米国では2024年にWAIS-5が刊行されていますが、日本版の現行版はWAIS-IVです。指標や下位検査の変更点はWAIS-IVとWAIS-5の違い、日本版の提供状況は日本版WAIS-5の発売時期で確認できます。
検査では、言葉で答える、図形の関係を考える、積木を組み立てる、数字を一時的に覚えて操作する、記号を制限時間内に探して書くといった、反応形式の異なる課題を一対一で行います。
日本版WAIS-IVの実施時間は60〜90分で、採点、解釈、結果説明は含まれません。
結果は採点と解釈を経て、後日の面談や報告書で返される施設が多く、返却時期と形式は受検先によって異なります。外部提出に使う場合は、報告書を発行できるか、提出先が求める形式に対応しているかを予約前に確認します。