絵の抹消は広い配列から標的を探す課題
WAIS-IVの「絵の抹消」は、色と形の組み合わせで指定された標的を、多数の図形が並ぶ広い配列から探し、見つけた図形へ印を付ける課題です。色か形の一方だけが似ている図形を避けながら、同じ標的条件に合うものを連続して拾います。
日本版WAIS-IVでは、16〜69歳に使う処理速度指標(PSI)の補助検査です。2つの課題に45秒ずつ取り組み、標的条件の保持、広い範囲の探索、妨害刺激への非反応、印を付ける速さが一つの得点へ表れます。
絵の抹消の得点に表れる力
得点が高い場合は、探す条件を頭に置き、似ているだけの対象を除外しながら、広い範囲から必要なものを速く正確に拾う力が強みとして表れています。一覧、棚、紙面などから条件に合う項目を漏れなく探す場面に近い処理です。
得点が低い場合は、標的を覚えていても広い範囲で見落としが増える、どこまで見たか分からなくなって同じ場所を探し直す、似た図形へ反応する、慎重に探すと時間内に見られる範囲が狭くなる、といった形があります。
「記号探し」より絵の抹消が目立って低い場合は、小さな範囲で一項目ずつ照合することより、同じ条件を保って広い範囲を連続探索する場面で負荷がかかりやすいと読めます。結果全体の中での位置づけは、WAIS結果の見方で説明しています。
記号探し・符号との違い
| 下位検査 | 直接求められること | 特に強く関わる処理 |
|---|---|---|
| 絵の抹消 | 広い図形配列から標的を探して印を付ける | 広い範囲の探索、選択的注意、妨害刺激への非反応 |
| 記号探し | 見本が小さな記号群にあるかを判断する | 局所的な視覚探索、形の照合、有無の判断 |
| 符号 | 数字に対応する記号を書き続ける | 対応表の探索・照合、記号の筆記、連合学習 |
記号探しと符号は処理速度指標の基本検査ですが、絵の抹消は補助検査です。得点を比べると、局所的な照合、広い範囲の連続探索、対応表を使った筆記のうち、どの課題形式で力を出しやすいかが見えます。
BrainTypeIQの記号探索との違い
BrainTypeIQの記号探索は、2つの見本と5つの探索記号を項目ごとに見比べ、一致の有無を画面上で答えます。構造は、絵の抹消よりWAIS-IVの記号探しに近い課題です。
絵の抹消のように同じ標的条件で広い紙面を連続走査せず、手書きで印を付ける動作もありません。BrainTypeIQでは、小さな探索群の視覚探索・照合・判断から処理速度(Gs)を測定します。
絵の抹消は米国版WAIS-5では削除されています。版による変更はWAIS-IVとWAIS-5の違いで確認できます。