絵の完成では欠けている重要な部分を見つける
WAIS-IVの「絵の完成」は、日常的な物や場面を描いた絵を見て、欠けている重要な部分を制限時間内に答える課題です。絵が何を表しているかを理解し、本来あるはずなのに描かれていない部分を見つけます。
絵の完成はWAIS-IIIでは基本検査でしたが、日本版WAIS-IVでは知覚推理指標(PRI)の補助検査になり、米国版WAIS-5では削除されました。版による構成の違いを踏まえると、日本版WAIS-IVでは通常、積木模様・行列推理・パズルからPRIを算出するため、絵の完成の評価点が結果表にあっても、PRIやFSIQの算出に使われていない場合があります。
細部を見つけるだけでなく、重要な欠落を判断する
絵の完成では細部をよく見る必要があります。ただし、目立つ違和感を見つければ終わりではありません。物の構造や場面の意味に照らして、その欠落が成立に関わる重要な部分かを判断します。
そのため、絵の完成は単純な間違い探しや、似た記号を素早く探す視覚探索課題とは異なります。細部への気づきを、絵の意味と結びつけるところまでが課題です。
視覚探索・既有知識・重要度判断
重要な欠落を見つけるまでには、次の処理が重なります。
- 絵の全体を見て、何が描かれているか認識する
- 各部を探索し、不自然な箇所を見つける
- 物の構造や用途についての既有知識と照合する
- 欠落している候補の重要度を判断する
- 制限時間内に位置や内容を答える
絵の完成の得点が高い・低い場合
得点が高い場合は、同年齢と比べて、意味のある絵を素早く認識し、細部を探索しながら重要な欠落を特定することが得意です。視覚的な違和感を、物の構造や用途についての知識と結びつけやすいといえます。
得点が低い場合は、絵が表す物や場面を認識する、細部を探索する、既有知識と照合する、重要な欠落を選ぶ、時間内に答える、という処理のどこかで負荷が上がっています。形や位置関係を扱う広い能力は、視空間処理(Gv)で説明しています。
絵の完成が積木模様やパズルより明確に高いなら、意味を持たない図形を分解・構成することより、既知の物や場面から重要な情報を見つけることが相対的な強みです。行列推理やバランスより高いなら、初見の図形関係から規則を導くことより、既有知識を使って視覚情報を判断する形式が得意なプロフィールです。結果全体の読み順はWAIS結果の見方で確認できます。