行列や系列の欠けた部分に入る図形を選ぶ
WAIS-IVの「行列推理」は、一定の関係で並んだ図形を見て、欠けた部分に入る図形を選択肢から選ぶ課題です。見た目が似た図形を探すのではなく、すでに見えている図形どうしの関係を推理し、同じ規則を満たす答えを選びます。
問題は3×3の行列だけでなく、図形が順に並ぶ系列も含みます。日本版WAIS-IVでは、「積木模様」「パズル」とともに知覚推理指標(PRI)を構成する基本検査です。
形・向き・位置・数の規則を組み合わせて解く
図形の並びでは、何が同じで、何が変化しているかを見分けます。規則になり得る要素は次のようなものです。
- 形や線
- 向き
- 位置
- 大きさ
- 個数
- 塗り方
要素が同じまま保たれる、順に変わる、行や列の中で入れ替わる、複数の要素が合成・除去されるといった関係を見つけます。
難しさは、図形が細かいことだけでは決まりません。規則に関係する要素を見分けること、縦と横の関係を同時に扱うこと、複数の規則を一つの答えへまとめることによって上がります。
規則発見・関係統合・仮説検証
行列推理の解決過程は、規則発見・関係統合・仮説検証の三つに分けて理解できます。
- 規則発見 — 図形のどの要素が、どのように変化しているかを見つける
- 関係統合 — 複数の行・列や複数の属性から得た関係を一つにまとめる
- 仮説検証 — 考えた規則が他の部分にも成り立つかを確かめる
行列推理は、初めて見る情報から規則を作る流動性推理(Gf)を代表する課題で、一般知能gとも強く関連します。規則発見・関係統合・仮説検証は別々の得点ではなく、一つの行列推理得点へ重なる解決過程です。
行列推理の得点が高い・低い場合
得点が高い場合は、同年齢と比べて、初めて見る図形から重要な要素を選び、抽象的な規則を見つけ、複数の関係を一つの答えへ統合することが得意です。
得点が低い場合は、重要な要素を選び、複数の関係をまとめて規則を導くことが苦手です。背景を考える軸は、注目する要素の選択、変化の発見、対応関係の把握、複数規則の保持と統合、規則候補の切り替えです。
行列推理がパズルより明確に高いなら、形の分解・合成より、図形間の規則発見が相対的な強みです。バランスより明確に高いなら、数量的な等価関係を導くことより、視覚的な規則を帰納する形式が得意です。得点全体の読み順はWAIS結果の見方で説明しています。
パズル・バランスとの違い
| 下位検査 | 直接求められること | 中心となる推理 |
|---|---|---|
| 行列推理 | 行列や系列の欠けた部分を選ぶ | 図形間の変化・配置・対応規則を見つける |
| パズル | 完成形を作れる複数の部分を選ぶ | 形を頭の中で分解・回転・合成する |
| バランス | 天秤を釣り合わせる重りを選ぶ | 数量的な等価関係を導く |
行列推理とJAPAN MENSA入会テストの重なり
JAPAN MENSAの入会テストは、3×3などの図形行列から規則を見つけ、空欄に合う図形を選ぶ行列推理型が中心です。WAIS-IVの行列推理と、図形の関係から規則を発見する処理が重なります。
問題は一種類ではなく、受検者によって出題内容が異なる場合があります(現行案内)。
JAPAN MENSAには、入会テストのほかに、WAIS-IVの結果を提出する証明書入会もあります。こちらは行列推理の得点だけではなく、WAIS-IVの検査結果を使う別の入会経路です。条件や手続きはMENSA入会ガイドで整理しています。
BrainTypeIQの行列推理との共通点
BrainTypeIQの行列推理も、図形の形、向き、位置、個数から規則を見抜き、条件に当てはまる選択肢を選びます。初見の図形からパターンを発見する流動性推理を見ている点で、WAIS-IVの行列推理と重なります。