流動性推理は初めての問題から解き方を組み立てる力
流動性推理の中心は、知識の量や計算の速さではなく、初めて見る問題から関係や規則を見つけ、解き方を組み立てることです。「流動性推論」「流動性知能」も、同じGfを指す言葉として使われます。
複数の例から共通規則を見つける、与えられた条件を順にたどる、比や等価関係から未知の値を導くといった推理が含まれます。これらは帰納的推理、演繹的推理、数量的推理と呼ばれ、図形だけでなく言葉や数量を使う問題でも働きます。
流動性推理の高低が表れやすい場面
| 問題の場面 | Gfが高い場合 | Gfが低い場合 |
|---|---|---|
| 暗黙の規則 | 少数の例から共通規則を見つけやすい | 規則が明示されないと試行回数や誤りが増えやすい |
| 複数の関係 | 形、数、位置などの関係を一つの解法へまとめやすい | 一つの規則は追えても、複数になると一部を取りこぼしやすい |
| 仮説の検証 | 候補を例へ当てはめ、合わないものを除外しやすい | 目立つ特徴を選び、全例に当てはまるかの確認が不足しやすい |
| 条件の変更 | 前の問題と似ていても、新しい条件から解き方を組み直しやすい | 規則が変わっても、以前の解き方をそのまま当てはめやすい |
WAISでは行列推理とバランスに強く表れる
日本版WAIS-IVでは、行列推理とバランスが知覚推理指標(PRI)に含まれ、流動性推理に強く関わります。行列推理は基本検査、バランスは補助検査です。
日本版WAIS-IVでは、流動性推理と、形や配置を扱う視空間処理(Gv)が同じPRIにまとめられています。英語原版WAIS-5では、行列推理とバランス(Figure Weights)から流動推理指標(FRI)を算出し、視空間指標(VSI)とは別に読めるようになりました。
日本版WAIS-IVのPRIが低い場合に、流動性推理と視空間処理を下位検査から読み分ける方法は、知覚推理が低いとは?で扱っています。
流動性知能と結晶性知能の違い
流動性知能(Gf)と結晶性知能(Gc)の違いは、新しい関係から答えを組み立てるか、すでに得た知識を使うかです。
| 領域 | 主に使うもの | 具体例 |
|---|---|---|
| Gf:流動性知能 | その場で見つけた関係・規則 | 初めて見る図形列から変化の規則を導く |
| Gc:結晶性知能 | 獲得済みの語彙・知識・概念 | 専門用語と背景知識を使って文章を理解する |
新しい分野では、Gfで未知の関係を捉え、そこで学んだ知識がGcとして蓄積され、次の推理を支えます。
平均的には、GfはGcより早く加齢による低下が表れ、語彙や知識はより遅い時期まで保たれます。能力ごとの変化は、知能と加齢で詳しく説明しています。
BrainTypeIQでは、行列推理と天秤推理からGfスコアを算出し、Gc、Gv、Gwm、Gsとともに確認できます。