バランスでは天秤を釣り合わせる図形を選ぶ
WAIS-IVの「バランス」は、釣り合った天秤に置かれた図形の種類と個数を見て、別の天秤を釣り合わせる選択肢を制限時間内に選ぶ課題です。同じ図形を同じ重さとして扱い、左右が等しいという関係から、空所に必要な重さを導きます。
日本版WAIS-IVでは、16〜69歳に使う知覚推理指標(PRI)の補助検査です。通常は積木模様・行列推理・パズルの基本検査からPRIを算出するため、結果表にバランスの評価点があっても、PRIやFSIQの算出に使われていない場合があります。
米国版WAIS-5では流動性推理の主要下位検査になった
米国版WAIS-5では、WAIS-IVの知覚推理指標が視空間指標(VSI)と流動性推理指標(FRI)へ分かれました。バランスにあたるFigure Weightsは、行列推理とともにFRIを構成する主要下位検査になり、FSIQの算出にも使われます。
さらに、Figure Weightsと算数から量的推理指標(QRI)を算出します。天秤の図を使う課題ですが、米国版WAIS-5では、数量的な関係を使って初見の問題を解く流動性推理の中心課題として位置づけられています。
米国版WAIS-5の指標構成は、WAIS-IVとWAIS-5の違いでも整理しています。
バランスに表れる等価関係・量的推理・条件統合
バランスでは、天秤の図を次のように数量関係へ置き換えます。
- 左右が釣り合っていることを「同じ重さ」として捉える
- 同じ形・色の図形を同じ量として対応させる
- 複数の天秤から図形どうしの置き換え関係を見つける
- いくつかの条件をまとめ、空所に必要な量を導く
- すべての条件を満たす選択肢を選ぶ
既知の公式へ数値を代入する計算問題ではありません。問題の図から数量関係そのものを発見し、別の天秤へ適用するところが中心です。
時間は成績に関わりますが、バランスは処理速度指標ではなく、量的な流動性推理(Gf)の課題です。
バランスの得点が高い・低い場合
得点が高い場合は、同年齢と比べて、図形を量として捉え、複数の等価関係から未知の関係を導くことが得意です。式が最初から示されていなくても、図の条件を整理し、同じ関係を別の場面へ適用できます。
得点が低い場合は、左右の対応を捉える、図形を量へ置き換える、複数の条件を同時に保つ、必要な関係だけを取り出す、時間内に答えを選ぶ、という処理のどこかで負荷が上がっています。
バランスが行列推理より明確に高いなら、図形の変化規則を帰納することより、等価関係から量を導く課題が相対的な強みです。算数より高いなら、口頭の文章を保持して暗算する形式より、数量関係を図で捉える形式で力を出しやすいプロフィールです。得点差の読み方はWAIS結果の見方で説明しています。
行列推理・算数との違い
| 下位検査 | 情報の示され方 | 直接求められること |
|---|---|---|
| バランス | 天秤と図形 | 等価関係から未知の量を導く |
| 行列推理 | 図形の行列・系列 | 配置や変化から規則を見つける |
| 算数 | 口頭の数量問題 | 問題を保持し、数量関係を式へ置き換えて暗算する |
BrainTypeIQの天秤推理との共通点
BrainTypeIQの天秤推理も、釣り合った天秤から図形の重さの関係を見つけ、空所に必要な図形を選ぶ課題です。同じ形・色は同じ重さとして扱い、示された複数の条件から未知の関係を導きます。