語音整列は数字と語音を決められた順序に並べ替える補助検査
WAIS-IVの「語音整列」は、数字と語音が混ざった系列を耳で聞き、二種類に分け、それぞれを決められた順序へ並べ直して答える課題です。日本版では、語音としてかなを使います。
日本版WAIS-IVでは、ワーキングメモリー指標(WMI)に属する補助検査です。適用年齢は16歳0か月から69歳11か月で、通常のWMIは基本検査の「数唱」と「算数」から算出されます。語音整列は、混合した聴覚情報を整理する力を詳しく見るときに使われます。
語音整列では保持・分類・順序操作を続けて行う
語音整列では、聞いた系列を覚えるだけでなく、ワーキングメモリ(Gwm)を使って頭の中で整理してから答えます。
- 数字と語音が混ざった系列を聞き取る
- 系列全体を短時間保つ
- 数字と語音の二種類へ分ける
- それぞれを決められた順序へ並べ直す
- 整理した系列を口頭で答える
数唱の数整列が数字一種類を並べ直すのに対し、語音整列では二種類への分類が加わります。聴覚情報の保持、注意、分類、順序操作を同時に進めることが、この検査の中心です。
語音整列の得点が高い・低い場合
得点が高い場合は、同年齢と比べて、混合した聴覚情報を正確に保ち、種類を分け、規則に従って並べ直すことが得意です。情報を覚えたまま、分類と順序化を進める負荷に強さがあります。
得点が低い場合は、次の工程のどこで崩れたかを検査中の反応から考えます。評価点をWMIやほかの下位検査へ位置づける順序は、WAIS結果の見方で説明しています。
- 系列を聞き取る段階で、数字や語音が抜ける
- 一つずつは聞き取れても、系列全体を保ちにくい
- 数字と語音を分ける途中で混同する
- 分類できても、種類内の順序を組み直しにくい
日常では、口頭で受け取った複数の記号的情報を短時間保ち、決められた分類と順序で整理する場面に近い負荷が生じます。メモへ種類別に書き分けると、保持・分類・順序化を頭の中だけで同時に行う必要がなくなります。
数唱・算数・語音整列の違い
数唱にも逆唱と数整列があるため、語音整列だけが「操作」を見るわけではありません。語音整列の特徴は、数字と語音が混ざった情報を分類してから、それぞれを順序化する点です。
米国版WAIS-5でも語音整列は二次下位検査として残った
2024年刊行の米国版WAIS-5でも、Letter-Number Sequencingは削除されず、二次下位検査として残っています。標準WMIの主要検査はDigit SequencingとRunning Digitsで、Letter-Number Sequencingは標準WMIや標準7下位検査版FSIQには通常入りません。
一方、ワーキングメモリーを広く見るExpanded Working Memory Indexと、聴覚情報の操作を詳しく見るAuditory Working Memory–ManipulationにはLetter-Number Sequencingが含まれます。つまり、主要検査ではなくなっても、混合した聴覚情報を分類・順序化する課題として役割が残っています。WAIS-IVとWAIS-5の違いでは、指標と下位検査の構成変更をまとめています。