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資料·2026-08-15 / 更新: 2026-09-02

ADHDとワーキングメモリ

ADHDではワーキングメモリがやや低い傾向があります。日常の忘れやすさは、注意がそれたときに目的・現在地・次の行動が抜け、元の作業へ戻りにくくなる形で表れます。

目次
  1. 01ADHDではワーキングメモリが低い傾向がある
  2. 02注意がそれると、目的・現在地・次の行動が抜ける
  3. 03抜けても戻れるように、情報を必要な場所へ置く
  4. 04BrainTypeIQでIQと認知の凹凸を測る

ADHDではワーキングメモリが低い傾向がある

ADHDでは、ワーキングメモリを使う課題の成績が集団平均で低い傾向があり、子どもと成人の両方で確認されています。ワーキングメモリは、必要な情報を短時間保ちながら、その情報を使って次の処理を進める働きです。

ただし、WAIS・WISCのWMIに表れる差は小さく、ADHD群の平均も平均域です。個人のWMIが平均以上でも、ADHDや日常の困難とは両立します。詳しい平均値とIQ全体の傾向はADHDのIQ・WAIS傾向で扱っています。

日常で問題になりやすいのは、身につけた知識が消えることではありません。今からすること、直前の指示、作業の途中経過など、その場で使っている情報を保ったまま次へ進む場面で抜けが起こることです。

注意がそれると、目的・現在地・次の行動が抜ける

作業中は、「何のために」「どこまで終わり」「次に何をするか」という情報を保ちながら進めています。

通知、物音、目に入った別件、頭に浮かんだ考え事へ注意が移ると、元の作業状態を保つ処理はいったん中断します。別件を終えて戻ったとき、目的や途中経過をすぐ呼び戻せなければ、画面や資料を見直して「何をしていたか」から復元しなければなりません。

このため、ADHDの注意散漫は、集中が途切れる時間だけでなく、途切れるたびに発生する再開コストを増やします。短い返信のあと元の資料を何度も読み直す、別のタブを開いたまま当初の作業へ戻らない、といった形です。

ADHDの「忘れやすい」は、何が、どの時点で抜けるかによって三つに分けられます。

抜けるもの起こりやすい場面何が起きているか
直前の情報複数の指示、会話、暗算後半を聞く、返答を考えるなど別の処理中に、前半の条件を保てなくなる
中断した目標通知対応、別件、複数タスク元の目的、完了地点、次の手順を再開時に復元できない
将来の予定持ち物、連絡、提出、予約「後で行う」という意図を、適切な時刻や場所で呼び戻せない
左右にスクロールできます

将来の予定には、適切な時点で意図を呼び戻す展望記憶も関わります。ADHDの忘れやすさをWMIという一つの得点だけで説明せず、何が、どの時点で抜けているかを分けると、必要な対策が見えます。

抜けても戻れるように、情報を必要な場所へ置く

対策の中心は、情報が抜けても環境から復元できるようにすることです。予定だけでなく、作業を再開するための情報まで頭の外へ置きます。

負荷が出る場面頭の外へ置く方法
複数の口頭指示依頼・条件・期限を文字でも受け取り、一度に実行する単位へ分ける
作業中の割り込み離れる前に「目的・完了地点・次の一手」を一行残す
後で行う予定実行できる時刻・場所で通知し、「資料を送る」のように一動作を書く
持ち物定位置を決め、出発時に通る場所へ置く
複数の作業作業一覧の置き場所を一つにし、進行中・待ち・完了を見える形にする
左右にスクロールできます

たとえば「見積書」というメモだけでは、再開時に内容をもう一度組み立てる必要があります。「見積書の数量欄まで入力済み。次は単価表の3行目を転記」と残せば、その一文から作業を再開できます。

メモやアプリを増やすほど、今度は「どこを見ればよいか」を覚える負荷が増えます。予定はカレンダー、作業は一つの一覧、持ち物は定位置というように、戻る場所を少数に固定すると外部化が機能します。

外部化の目的はワーキングメモリ自体を強くすることではありません。保持する量を減らし、抜けても目的と現在地を環境から復元できるようにすることです。ADHDに限らない工夫やワーキングメモリ訓練の効果はワーキングメモリが低い人の特徴と工夫、着手・中断・再開・完了の切り分けは理解できるのに仕事が進まない理由で扱っています。

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