CHC理論は知能を3つの階層で捉える
CHC理論(Cattell-Horn-Carroll理論)は、知能全体に共通する能力から、領域ごとの能力、さらに具体的な処理までを3層で捉えるモデルです。Cattellが流動性知能と結晶性知能を分け、Hornが記憶や視覚、処理速度などへ広げ、Carrollが多数の研究を3つの階層へ整理しました。
| 階層 | 何を表すか | 例 |
|---|---|---|
| 第III層:一般能力 | 幅広い知的課題に共通する全体的な能力 | g因子 |
| 第II層:広域能力 | 知識、推理、視空間処理、記憶、速度などの大きな能力領域 | Gc、Gf、Gv、Gwm、Gs |
| 第I層:狭域能力 | 広域能力を構成する、より具体的な処理 | 語彙知識、帰納、視覚化、知覚速度 |
たとえば、初めて見る図形列から規則を見つける力は、最上位ではg、広域能力ではGf、狭域能力では帰納として捉えられます。最上位のg因子とIQの関係は別記事で詳しく説明しています。
Gc・Gf・Gv・Gwm・Gsが表す能力
認知能力の違いを捉える中心になるのが、第II層の広域能力です。ここでは、IQと認知プロファイルに関係する5つを示します。
| 能力 | 中心となる力 | 具体例 |
|---|---|---|
| Gc:言語理解・結晶性知能 | 学習や経験から得た知識を理解し、言葉で使う | 言葉の意味を説明する、概念同士の関係を言語化する |
| Gf:流動性推理 | 初めて見る問題から関係や規則を見つける | 図形列の規則を見抜く、条件から結論を導く |
| Gv:視空間処理 | 形や位置関係を捉え、頭の中で操作する | 図形を回転させる、部分から完成形を思い浮かべる |
| Gwm:ワーキングメモリ | 情報を一時的に保ちながら、その情報を使って考える | 数字を覚えて逆順に並べる、複数の条件を保って計算する |
| Gs:処理速度 | 比較的単純で反復的な情報を速く正確に処理する | 記号を見比べ、同じものを制限時間内に探す |
CHC理論には、この5能力以外にも聴覚処理、学習、長期記憶からの検索、読み書きなどの広域能力があります。
同じ総合IQでも能力の組み合わせは異なる
総合IQは、複数の認知課題を一つにまとめた得点です。そのため、総合IQが近い人同士でも、各能力の組み合わせは異なります。
たとえば、言語理解と推理が高く、ワーキングメモリと処理速度が低い人は、複雑な内容を理解できても、複数の条件を保ちながら短時間で処理する課題では負荷が上がります。視空間処理が強い人は、言葉だけの説明より、図や配置から全体像を捉えやすいことがあります。
CHC理論は、総合IQの水準と、その内側にある能力差を同時に扱えます。 能力の組み合わせを仕事・会話・学習へつなげる方法は、認知プロファイルとはで説明しています。
WAISの指標とCHC理論の関係
日本版WAIS-IVのVCIは主にGc、WMIはGwm、PSIはGsと関係し、PRIにはGfとGvの両方が含まれます。たとえば、行列推理ではGf、積木模様ではGvの比重が大きくなります。
CHC理論で見ると、WAIS-IVのPRIにまとめられている推理と視空間処理を分けて考えられます。下位検査ごとの対応やWAIS-5での変化は、CHC理論とWAISの関係で詳しく扱っています。
BrainTypeIQで測る5つの能力
BrainTypeIQでは、CHC理論をもとに、Gc、Gf、Gv、Gwm、Gsの5能力を9科目で測定します。CHC理論の全領域ではなく、総合IQと認知プロファイルを捉えるために選んだ5領域です。
総合IQに加えて5能力の得点を見ることで、どの種類の課題で力を出しやすいかを確認できます。各科目の構成は、9科目×5領域の測定設計で説明しています。
BrainTypeIQの無料テストで、総合IQと5能力のプロファイルを確認できます。